SNSやICTの活用!!【地域事情に合わせた】家庭教育支援の先進的な取組事例

地域の実情に応じたアウトリーチ型家庭教育支援の取組事例について文部科学省より公表されました。「アウトリーチ型家庭教育支援」とは、家庭教育の自主性を尊重しつつ、地域の 実情に応じた多様な手法により、保護者に寄り添い届ける家庭教育支援の取組全般を指します。

はじめに

家庭教育は、すべての教育の出発点であり、子供の基本的な生活習慣や豊かな情操、自立心の育成、心身の 調和のとれた発達などを図る上で、重要な役割を担うものです。 一方で、核家族化、共働き家庭やひとり親家庭の増加、地域のつながりの希薄化など、家庭を取り巻く環境が変 化しており、様々な課題を抱えつつ、地域から孤立し、自ら相談の場にアクセスすることが困難な家庭など、家庭教育 に関する支援が届きにくい家庭への対応の必要性や重要性は一層高まっています。

こうした中、全国の様々な地域では、地域の多様な方々などが中心となって、それぞれの地域の実情に応じた工夫を凝らし、支援がなか なか届きにくい家庭(保護者)に寄り添い届けるアウトリーチ型の家庭教育支援の取組を進めておられます。

主に家庭訪問を中心にした支援策多様な手法での支援策と分かれており、それぞれ説明をしていきます。

家庭訪問を中心としたアウトリーチ型家庭教育支援

家庭教育支援チーム ~ほっとルーム~ (鹿児島県 いちき串木野市)

【取組の背景・ねらい】

いちき串木野市は、人口 約27,000人 少子高齢化が急速に進行している。

小中学校の児童生徒数 平成22年度:2,386人→令和2年度:2,002人 核家族化や地域のつながりの希薄化等により家庭の教育力の低下、家庭の孤立化、子育てに対する不安、現代の子供が抱える課題 (不登校・いじめ等)も増えつつある。 平成21年度~串木野小学校で支援活動を スタートし、現在では市内全小学校で実施している。気軽に相談できる「近所のおばちゃん」 的存在となり、悩み相談を通じて、地域や学校、専門機関への橋渡しを行う。

【取組内容】

1、保護者への相談活動 ①長子家庭訪問⇒子供が初めて小学校に通うことに なる保護者の不安軽減、話し相手となる。 ★1年生:長子家庭に年3回 ★2年生:(1年生時会えなかった家庭を中心に) ②出前サロン「おあしす」 小学校の学級PTA時や保育所で開催し、 保護者が立ち寄りやすい工夫をしている。 ③電話、来室相談(ほっとルームにて)

2、広報・アンケート・連携・研修

3、家庭教育学級等への参加・取材活動

4、企業等との連携活動 ①「ほっとルームだより」の配布 ②「ほっとルームだより」の原稿依頼 ③企業の代表を連絡協議会委員に委嘱

【取組成果】

長子家庭訪問では、対象者の90%と面談ができた。 情報紙「ほっとルームだより」では、毎月子育てに関す る多くの情報があり、子育てを振り返る機会になっている。「ほっとルーム」の出前サロン「おあしす」では、参加者 から「自分の思いを聞いてもらい、少し余裕ができ、気持ち が優しくなったような気がします。」などの意見があった。

【その他】

いちき串木野市では子育て支援に力をいれており、出産祝金や入学祝金制度はもちろん第三子以降の子どもは1〜5才までは誕生日祝金という制度もあります。乳児の紙おむつ助成もあり、子どもに優しい自治体なのがわかります。

詳しくはいちき串木野市ホームページ

 

 

多様な手法によるアウトリーチ型家庭教育支援

①これからの時代を見据えた家庭教育支援をデザイン~コロナ禍において学びを止めないために~熊本県 教育庁市町村教育局社会教育課(熊本県)

【取組の背景・ねらい】

平成21年にくまもと「親の学び」プログラム作成、平成25年は「くまもと家庭教育支援条例」を施行し、家庭教育の重要性や子育てについて学ぶ 「親の学び」講座の普及啓発 ・保護者同士のつながりをつくる参加体験 型の講座を実施して来ました。

しかし令和元年度は2,624講座93,003人が参加するも新型コロナウイルス感染症の影響により、事業を継続することが困難になりました。

そこでオンラインによる講座 ・「親として学び、親同士のつながりをつ くる機会」を構築していくための一つと して取り組んでいる。

【取組内容】

オンラインによる「親の学び」講座

・「親の学び」推進園(協力いただいている就学前施設)に依頼し、保護者が参加しやすい時間帯に 30分程度実施。

・ 1回の参加者は4、5名程度に限定。複数回実施することですべての家庭に家庭教 育支援を届けていく。 初回は社会教育課の職員が進行及び機器の操作役を務め、2回目以降は保護者と 信頼関係を築いている園内研修を受けた保育園の職員が務める。

・熊本市の公民館で実施している家庭教育学級でも同様の講座を実施。

【取組成果】

講座を実施するに当たって「来てほしい保護者が来てくれない」 「毎回、参加者が同じ」という意見が聞かれていた。 オンライン講座を実施することで、参加者は自宅にて参加できる ので、様々な事情によりこれまで参加できなかった保護者に参加し ていただき、園や他の保護者とのつながりを深めることができた。

【その他】

熊本家庭教育支援チーム・団体一覧でこれだけの登録があります。

県が主導することにより、各市町村と連携がとれ地域事の課題解決もできて非常に良い取組ですよね。

 

②坂東市家庭教育支援チーム(茨城県 坂東市)

【取組の背景・ねらい】

家族形態の変化や、地域社会のつながりの希薄化を背景とした子育てに関する不安や悩み、 孤立しがちの家庭の増加 、不登校、児童虐待、経済的困難等、 主体的な家庭教育が困難になって いる家庭の増加。

保護者との信頼関係を築き、悩みや不安に寄り添い、関係各所と連 携しながら家庭教育力の向上や養 育環境の改善を図ること、学校(先生)と家庭の良好な関係 を築くための支援をすること、児童生徒が学校教育活動(市適応 指導教室を含む)に復帰すること。

【取組内容】

・学校・福祉部局との連携

6月:不登校児童生徒状況調査票をもとに学校側と家庭教育支援 が必要か否かを十分に意見交換し、支援家庭を仮選定する。 7月:第1回推進協議会で支援家庭を決定する。 ※年6回の推進協議会を実施。協議会には大学の教授等を招き、 専門的視点からの指導・助言を受ける。 9月:学校現場等とケース会議を行い、初回訪問は学校と事務局 が同行し、支援員の訪問につなぐ。 ・事務局は必要に応じて福祉課ケースワーカーや社会福祉士に同 行を要請、他部局の支援にもつなげる。

・支援家庭に対しては、訪問や電話、SNS、手紙など様々な手段 を使い、孤立させないよう見守り体制を強化する。

・支援員が訪問する前に、事務局が学校に対象児童生徒の状況を 聞き、支援員に伝える。支援員は最新の情報をもとに家庭を訪 問し、訪問後は直接学校に状況を報告する。

【取組成果】

何らかの改善・変化がみえた家庭(8割) ・支援員との良好な関係を築くことができた ・子供の環境を変える手段を検討できた ・保護者と学校をつなぐ役割を担えた 今後に課題を残すもの(2割) ・面談や接触を拒否する家庭への対応 ・対象家庭における本事業への認知度の違い。

令和元年度は家庭数25家庭の内、登校するようになった家庭は14家庭 (56%) 延べ訪問回数は146回 昨年比1.4倍

【その他】

令和2年には文部科学大臣賞を受賞(詳しくはこちら)支援家庭への訪問はもちろん電話に手紙、メールやSNSを使いコミュニケーションをとっている時代に合わせた対応も素晴らしいです。

 

 

家庭教育支援を担う人材の確保・養成」に関することや個人情報の取扱、他の自治体の事例なども気になる方は是非こちらよりご確認ください。

感染症や災害等の非常時にやむを得ず学校に登校できない児童生徒に対する学習指導について

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